「地方銀行に就職するメリットってあるのだろうか?」
「地方銀行に就職したけど、本当にこのまま続けて大丈夫かな?」
就職活動で地方銀行を選択肢として検討しているあなた。
地元就職を希望して地方銀行に入社したものの、その先行きは大丈夫だろうかと悩んでいる若手のあなた。
ここ最近は日銀の利上げに伴って業績が改善傾向にある銀行業界ですが、その中でも「地方銀行」というと、ネット銀行の台頭や地方都市の人口減少も相まって、「斜陽産業」のイメージが払拭できない業界のひとつですよね。
地元ではCMや広告を見かけるけど、いまいちセンスに欠けているし、こんな会社に勤めて大丈夫なのかなと不安に思う就活生や若手社員も中にはいるかと思います。
地元やふるさとで働きたい。そう思って都市部から地方へUターンすることはとても素晴らしいですし、意義あることだと思います。
そういう方は地方銀行で働くことをお勧めします。地方銀行で働くメリットはいくつもありますが、その中でも
・生活基盤の安定性が高い
・収入の水準が地元では高い
・仕事のやりがいが相応にある
これらは特に注目すべきポイントです。
わたくしt郎(てぃーろう)は銀行員として15年間働き、様々な銀行を見てきました。地方銀行は競合他社だったこともあれば、共同で案件を進める同志だったこともあります。その実際の経験をもとに、地方銀行で働くメリットを3つお伝えしていきます。
<この記事の内容>
・地方銀行の生活基盤の安定性について
・地方銀行の給与水準について
・地方銀行の仕事で感じられるやりがいについて
これらのポイントに絞ってご紹介いたします。
地方銀行も切り口を変えて捉えてみると「思ったよりも悪くない」といえるところが見えてくるかもしれません。
地方銀行でこれから働く、もしくはもう働いているあなたの参考になればと思います。
地方銀行のメリット① 地元で働けて転勤も限定的なので生活基盤が安定する
まず、なんといっても生活基盤の安定性が高いです。ダントツです。
特に新卒の働き始めや若手の頃というのは、業務内容だけでなく、職場の人間関係、慣れない通勤ラッシュ、学生時代とは変わる生活習慣などなど、おそらくすべてといっていいくらい環境が激変します。
新卒で銀行に就職する場合も同様といえます。
けれども、それが「地方銀行」の場合、意外と環境の変化に対応しやすい可能性があります。
では、それはどんな理由なのか。もう少し具体的に説明をしていきます。
土地勘がある地域で仕事ができるというメリット
地方銀行に就職する=地元に就職する、という方がほとんどだと思います。
その場合、最初から多くの道順を知っていたり、土地勘が十分にあるのではないでしょうか?
家から銀行に通う道。
銀行から取引先へ向かう道。
渋滞で混んでいるときの抜け道。
そんなことぐらい、と思うかもしれませんが、こうした「道を知らない」という状態は思った以上にストレスになります。
銀行生活15年の私ですが、転勤で見ず知らずの初見の地域に行くと、まずなにが大変かというと「どうやって目的地へ行けばいいか調べないとわからない」ということです。
当然GoogleMapで調べて行きますから、所要時間はイメージがつきますが、やはり初見の土地だと思ったようにはたどり着けません。
ましてや通勤や取引先のアポなどは時間がキッチリ決められていますから、まずはそれを守るのに必死になる必要があります。
転勤するエリアも限定的で不安が少ないというメリット
地方銀行はその名のとおり「地方」にあります。
三大都市圏の場合はやや異なりますが、原則としてカバーしている商圏は各都道府県がメインです。
例えば新潟県の地方銀行であれば、そのメインエリアは新潟県内で、だいたい各市町村に支店が複数置かれているイメージです。
銀行員には転勤がつきものですが、転勤というのは本部か支店に配属されるので、メインエリアが1都府県内ということであれば、当たり前ですが、転勤先もその都府県内になります。
地方銀行でも三大都市圏に支店を進出させている銀行が多いですが、支店数は限られるためメインエリア外へ転勤する確率でいえば、あまり高くありません。
そのため、転勤するエリアもある程度予測がつきます。
さらに地元の地方銀行ということであれば、次にお伝えするように、実家からもそう遠くないエリアで常に仕事ができるというメリットにつながります。
仕事は実家から通うケースもあり、生活面も精神面も負担が軽いというメリット
地方銀行の場合、その多くが大手企業のような全国転勤がありません。
しかも実家から通える距離の支店や本部に配属されるケースもよくあります。
一人暮らしや会社の寮に入寮するとわかるのですが、この「実家から通える」というのは非常に大きなメリットです。
若いうちは必ずしも実家から通わなくてもいいとは思いますが、地方銀行であれば少なくとも「いつでも実家に帰れる距離」で仕事ができる。
これ、実は生活面でも精神面でもかなり負担が軽減されます。地元で働けるメリットとも言えますね。
このように、地方銀行は転勤も限定的なので地元志向の方にとっては生活基盤が安定してメリットは大きいといえます。
地方銀行のメリット② 地方では給与水準は高く、リーディングカンパニーとして率先して賃上げする傾向にある
地方銀行で働くメリットのひとつに「給料水準が高い」ことが挙げられます。
銀行に就職するメリットややりがいはあるのか? 銀行員を続ける「本当」の理由3選でも触れましたが、なんだかんだいって、地方での銀行員の給与水準は高いです。
特に第一地銀のような地元のトップ地銀であれば、その地方自治体の上位水準にはまず間違いなくランクインしてくるレベルです。
加えて、昨今注目を集めている「賃上げ」の影響を強く受けているのも地方銀行の特徴です。
地域経済をけん引するリーディングカンパニーを自負する地方銀行にあっては、昨今の物価高、金利上昇局面において、率先して賃上げをしなければいけない環境に置かれています。
地元の銀行が賃上げしていないのに、中小企業だけが賃上げするようなことにはなりにくいですよね。
また、採用に関しても若手や新入社員の初任給の引き上げを積極的におこなっています。
賃上げに初任給に地方銀行は給与水準でも安心して働けるだけのものを提供してくれる会社といえるのではないでしょうか?
地方銀行のメリット③ 地元に貢献している実感がダイレクトに得られる
地方銀行で働くと「地元に貢献している」という実感が湧くことがけっこうあります。
地元や地域には必要不可欠な組織であり、地域に根づいているのが地方銀行。
そんな実感を得ながら仕事ができるというのも地方銀行のメリットではないでしょうか。
それはどんなメリットなのか、もう少し具体的に説明をしていきます。
銀行員として地域の方との顔見知りが増える
地方銀行の支店にやって来るお客様はその支店の周辺に住んでいるか、会社が近くにあるか、地元の方が大半を占めます。
一見客もゼロではありませんが、多くは取引先の方であったり、近隣の方であったりがリピートして支店に来店されます。
お互いに何度も顔を合わせるようになるので、自然と顔見知りになっていきます。コミュニケーションも増えます。
「人間は社会的動物である」といわれるように、社会の中で他者との関係において存在を実感する生き物で、他者との関係が必要不可欠です。
そのため、こうして仕事を通じて人間関係が広がることは人の本質的な部分でもプラスに働くといえます。
「地域密着」というと安く聞こえがちですが、それもまた地方銀行としての役割であり、そこに働くメリットではないでしょうか。
融資を通じて目に見える形で地元貢献を実感できる
最後に、銀行3大業務のひとつ「融資」についてです。
ご存じのように住宅ローンであったり、会社の事業用資金であったり、さまざまな形態で融資を取り扱っています。
例えば、住宅ローンでいえばその1件1件が数千万円程度の大きな案件です。そしてお客様に融資を実行した後には、当たり前ですが新築のマイホームがその地域に1つ増えます。
つまり、住宅ローンの実行が目に見える形でその地域に残るのです。
また、地元企業への融資も同様です。
「新しい工場を建てたい」であったり、「新型の設備を購入したい」といった取引先の要望に対して、地方銀行は融資で対応していきます。
当然一筋縄ではいかない案件や取引先と条件面の交渉が生じて融資実行までに紆余曲折(よく言えばドラマ)があると思います。
でもその後には「この家は(工場は)私が融資して建てられたんだよ」というちょっとした誇りが生まれることでしょう(もちろん個人情報として他人には言えませんが)。
融資を通じて目に見える形で地元貢献を実感できる。これも地方銀行で働くメリットに違いありません。
まとめ とはいえ地方銀行で働くデメリットもある
いかがでしたか?
地方銀行と聞くと「田舎っぽい」とか「斜陽産業」といったイメージはありますが、その仕事の本質は悪くないように思います。
とはいえ、当然地方銀行で働くデメリットもそれなりにあります。
これまでお伝えしてきたメリットも裏を返せば「デメリット」になり得ます。
地元から離れたくても離れられない。
都市圏に比べると給与水準が低い。
もっと大きな金額が動く仕事がしたくても限界がある、などなど。
今回ご紹介した内容は地方銀行で働く際のポイントとなる部分を一部ご紹介したにすぎません。
最終的にどこで、どんな働き方がしたいのか。それにはどんな仕事を、どのようにやっていくのが一番合うのか。自分自身の強みや弱みも含めて判断していくことになります。
本記事はその一助となれば幸いです。
地方銀行 メリット 320