銀行員はどんな国家資格を取ったらいいの?
銀行で資格取得を目指す時に気を付けるべきポイントはあるの?
これからの銀行員にとって「国家資格取得」は避けては通れない道になっています。
この記事では銀行15年勤務のt-郎(てぃーろう)が、これからの銀行員に必須の国家資格について解説します。
現在の保有資格ですが、以下の通りとなっています(大したことない……)
- 宅地建物取引士
- FP技能士2級
- ITパスポート
- 衛生管理者2種
この記事を読むことで、銀行員が目指すべき資格、その難易度の他、若手行員やこれから銀行就職を考えている大学生に向けて、資格取得に向けたポイントを押さえることができます。
これからの銀行員が目指すべき必須資格一覧(難易度順)
それでは難易度順に見ていきましょう
ITパスポート 難易度★☆☆☆☆
ITパスポート 公式HP
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html
ITに関する基礎的な知識を証明する国家資格です。
主に、情報技術やデジタル社会の基本的な理解を持つことが求められ、業務でITを活用するための基盤を提供します。
試験内容は、ITの基礎、ネットワーク、セキュリティ、データベース、システム開発など一連の分野で、ビジネスや職場で使えるITスキルを身につけるために有用です。
資格取得は、ITの初心者や業務でITの活用を考える人々にとって、スキルの証明となります。
ちなみに、他の資格に比べ新興ということもあり、年々試験難易度が上がっている資格でもあります。
ITパスポート取得を目指す方は早めの受験をおすすめします。
日商簿記検定 難易度★★☆☆☆
日商簿記検定 公式HP
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping
日本商工会議所が主催する簿記の資格試験です。
企業の状況を正確に把握し、経営に考えられた会計情報を提供するための基礎的な知識を証明する資格です。
1級、2級、3級の3つのレベルに分かれており、3級は基本的な簿記の知識を、2級は企業の経理事務や諸表の作成能力、1級は高度な会計処理や論点分析能力を求められます。
それだけでなく、ビジネス全般に関して重要のために有用です。
資格難易度は3級を基準としたので、やや易しめです。
FP技能士 難易度★★★☆☆
一般財団法人 金融財政事情研究会 公式HP
https://www.kinzai.or.jp/fp
FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)は、個人や企業の管理に関する専門的な知識と技術を有することを証明する資格です。
ライフプランの設計、資産運用、税務、年金、保険などの分野で活動します。
試験は3級から1級まであり、3級は初心者向け、1級は高度な専門知識が求められます。
こちらも3級~2級の難易度を基準としています。ちなみに1級となれば難易度★★★★☆です。
FP技能士は、顧客のライフスタイルに応じたアドバイスを提供し、生活設計のサポートを行うことが求められます。
AFP・CFP 難易度★★★☆☆
日本FP協会 公式HP
https://www.jafp.or.jp/aim/cfp/cfptoha
AFPとその上位資格であるCFP(金融認定プランナー)は、ファイナンシャル・プランニングの専門家として世界的に認められた資格です。
日本では、CFPは日本FP協会が認定する民間資格で、FP技能士よりも高度な知識と実務経験が求められます。
CFPは、個人のライフプラン、資産運用、税務、相続、保険、年金などの広範な金融分野に精通し、顧客に対して総合的なファイナンシャル・プランニングを提供する役割を担っております。
資格取得には一定の実務経験と試験合格が必要で、顧客に高品質なアドバイスを提供するための専門的な知識と倫理観が重要です。
CFPは6科目に分かれており、分割して受験することが可能なことから難易度をやや易しめとしましたが、一発合格となると難易度★★★★☆です。
ちなみに、AFPであれば通信講座などを通じて資格取得も可能なので、難易度はそれほど高くありません。
宅地建物取引士 難易度★★★★☆
一般社団法人 不動産適正取引推進機構
https://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html
不動産取引に関する専門知識を持つ国家資格で、不動産業界での重要な役割を担う職業です。
この資格は、不動産の売買や賃貸契約などの取引に関して、法令に基づいた正確な情報提供とアドバイスを行うことが求められる宅建士は、契約書作成や重要事項説明、取引内容の確認などを担当し、消費者保護の観点から重要な役割を担います。
資格取得には宅建試験に合格することが必要で、試験では不動産基準や実務に関する知識が幅広く問われます。
また、最近では大手企業を中心に社員の資格取得に力を入れており、受験者増、難化傾向にあります。
受験した感想として、ほぼ文章題の4問択一であるにも関わらず、出題範囲の広さに加えて、解答には細かな知識を求められる内容ため非常に苦戦しました。
中小企業診断士 難易度★★★★★
一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会 公式HP
https://www.jf-cmca.jp//contents/007_shiken.html
株式や債券などの金融商品に関する調査・分析を行い、投資家や機関投資家に対して投資判断のアドバイスを行う専門職です。
動向の調査、経済状況の予測などをベースに、個別銘柄や市場全体の価値評価を行います。
ストの資格である「証券アナリスト(CMA)」は、金融業界で高度な分析能力と専門知識を証明する資格で、投資家の意思決定を支援します。
証券会社での投資商品提案、企業のM&Aアドバイザリーなど、幅広い分野で活躍しています。
少しかじったことはありますが、正直めっちゃ難しいです。
証券アナリスト 難易度★★★★★
日本証券アナリスト協会 公式HP
https://www.saa.or.jp
中小企業診断士は、中小企業の経営や発展をサポートする専門家で、経営戦略、分析、人事・組織、マーケティングなど幅広い分野に精通しています。
業務や投資判断の際に、中小企業診断士の知診断士は、企業の状況や経営課題を客観的に分析し、改善策を提案するため、銀行側が保証先のリスクを適切に評価する際に重要なアドバイザーとなります。
企業士診断の資格を持つことで、顧客企業の経営支援に深く関わることが可能になります。
この資格を目指して見事合格した同僚がいますが、合格まで年単位の時間をかけて取り組んでいました。
銀行員に資格取得をおすすめする理由
業務知識に直結する資格が多い
まずなんといっても、学んだ知識をそのまま業務に活かすことができます。
今回紹介した国家資格は主に金融、民放、税金、財務など、特に銀行業務に直結する資格ばかりです。
保有しているだけでスキルや知識の証明となるのはもちろんのこと、実際の業務の効率化や顧客への提案力の質を高めるためにも非常に役に立つ資格ばかりです。
現在、銀行員の業務は「預金を集めてお金を貸す」という単純なものから、銀行の持つ情報を活かして様々なソリューションを提供することが求められるよう大きく変化しています。
これまで以上に顧客のニーズを正確に理解し、適切なアドバイスを提供する「お悩みの解決をする能力」が求められます。
資格取得で得た知識をもとに、顧客のニーズに特化した専門的な知識を身につけ、より質の高いサービスを提供することにつながります。
名実とも金融のプロと認められる
資格取得は顧客への信頼性を高めるだけでなく、業務の精度を飛躍的に向上させます。
例えば、FP技能士や証券アナリストなどの資格は、金融商品やリスク管理について専門性の高さを示す証となり、金融のプロとして、社内外での信頼を得やすく、キャリアアップのチャンスも広がります。
資格手当がつくケースもある
金融機関によって異なりますが、難易度や専門性の高い資格を保有している場合、「資格手当」として給与に上乗せされたり、合格に対して報奨金などのインセンティブが付与される場合があります
外の世界に目が向けられる
資格の勉強を始めたら、ぜひネットやSNSをのぞいてみてください。
同じように資格取得による自己啓発やキャリアアップを目指す方々の頑張りや活躍が日々更新されています。
職場以外に同じ資格合格を目指す同志やその資格を活かした仕事の仕方などに触れることで、きっと日々の業務へのモチベーションにもつながるはずです。
銀行員が国家資格をとるのは難易度が高い?
難易度は決して高くない
銀行員とした勤務している、就職先として銀行を考えている。
そうした方であれば、これらの資格取得は決して難しいものではありません。
日々の業務は資格勉強以上に複雑で頭の回転を必要としています。
「銀行員は優秀」と言われる所以かもしれません。
また高校、大学と受験勉強を経ている方であれば、たいていの資格はその延長線上でしかありません。
勉強時間を確保することが最大の壁
むしろ、最大の壁は「勉強する時間をいかに確保するか」という点にあります。
仕事のストレス、家庭との両立、さまざまな誘惑、そうしたものと付き合いながら毎日数時間の勉強時間をいかに計画的に確保するか、ということに力を注ぐ必要があります。
勉強時間が確保されれば、これらの資格取得に向けては視界良好といっていいレベルです。
銀行員の出世に資格は影響するのか?
銀行員の出世事情については別記事にまとめていますので、よければご覧ください。
若手時代は資格で差別化されやすい
資格取得を考えるなら、できるだけ若いうちに、できるだけ早くとることで資格取得のメリットを最大化できます。
これらの資格を取得しなくても、出世することはできます。
ただし、若手であればあるほど、営業実績や企画立案に恵まれない期間には、こうした資格の有無は同期やライバルとわかりやすく差別化することができるので、できるだけ早く取り組むことをおすすめします。
銀行によっては昇進に資格が必須となる場合も
また、主任や課長などに昇進する際にいくつかの資格保有が必須となる金融機関も一部あるそうです。
ご自身の勤務する金融機関の人事制度を改めて確認し、必要不可欠な資格には早めに取り組むことをおすすめします。
資格の試験はどの順番はどうしたらいいか?
あくまでt-郎自身の主観に基づいた意見ですので、ご参考まで。
個人向け→法人向けの順で試験を受けてみる
まずFP技能士など、個人向けのスキルが身につく資格を受けるのがおすすめです。
法人も社長や従業員など「個人」がベース。
個人に関する知識は自分自身のお金や資産形成などに直接関わってくるので興味を持ちやすいです。
また、FP1級、CFP、宅建などは出題範囲に類似する領域も多く、出題範囲の類似する試験を順に受けていくことでで効率的な資格取得の勉強ができます。
試験の実施回数が多い資格から受けてみる
ITパスポート | 随時WEB申込可能 |
日商簿記検定 | 年3回(2・3級は随時CBT方式あり) |
FP技能士 | 年3回(3級は随時CBT方式あり) |
CFP | 年2回 |
宅地建物取引士 | 年1回 |
中小企業診断士 | 年1回 |
証券アナリスト | 年2回 |
ITパスポートや3級クラスの資格ように、随時WEBで申し込んで試験を受けに行くことができる気軽な資格も多くあります。
また、年2回程度試験がある資格であれば、仮に一回失敗したとしてもすぐにリベンジできるので、モチベーションを維持しやすいでしょう。
試験範囲の広い難関資格は自身の勉強ペースをこうした比較的難易度の低い試験で掴んでから取り組むのもアリです。
銀行員を目指す大学生は資格取得は必要?
資格がなくても銀行員にはなれる
証券外務員など必須資格を除けば、これらの資格がなくても銀行に就職はできますし、働いていくこともできます。
若手のうちは資格が評価の差になることがある
前述のとおり、資格保有の有無は若手のうちは評価の差に直結します。就職前から資格取得が可能であれば、ぜひ取り組んでみてください。
まとめ 資格取得に取り組むことで仕事を楽しくする
いかがでしたでしょうか?
t-郎の私見も多分にある内容とはなっていますが、現場で働く銀行員のひとりとして、これからの銀行員に必要だと思う資格をご紹介しました。
資格取得は「資格をもつ」ことがゴールではなく、「資格を活かす」ことが本来目指すべき姿だと思います。
資格を取得する。
そのために幅広い知識を身につける。
それがやがてお客様に対してより良い提案につながったり、自分自身の出世につながったりと、仕事がより楽しく、よりよいものになるべきだと思います。
ぜひ皆さんも資格取得に挑戦してみてください。
もしかすると「銀行員」という枠を超えて、自分自身の人生が変わるきっかけとなるかもしれません。