「銀行員 辞めたい」
「銀行員 転職」
「銀行員 やめとけ」
銀行員に関連する検索ワードの上位にはそんな字面が当たり前のように上がってきます。
銀行ってそんなにヤバい業界なのでしょうか?
正直、辞めたくなる時はあります。
この記事は、私と同じ銀行員の方やこれから銀行や金融機関に就職を考えている方の参考になればと思い書いています。
銀行員はメガバンクだけで約8万人、各県にある地方銀行では約12万人が従事しています。信用金庫や政府系金融機関も含めればその総体はさらに大きくなります。
これだけ大きな業界ですが、業種柄なのか内部の事情や詳細な情報はあまり開示されていません。
また、銀行同士の情報交換の機会も少なく、近隣の支店同士でも他行であれば、ほとんど顔を合わせないケースも普通にあります。
最近では銀行系のSNSアカウントも多く、銀行員の日常を垣間見ることができるようになってきたので、少しずつですが、銀行員に対する印象も変わってきたかもしれないですね。
今回は銀行員歴15年のt郎が現場で感じる、銀行員が辞めたくなる「本当」の理由(あくまで辞めたくなる、辞めてはいません)についてお話していきたいと思います。
辞めたくなる理由① やっぱりノルマはきつい
ノルマがきつくて辞めたくなる。これはやはりあると思います。※最近はノルマを廃止する銀行も一部出てきてはいます
銀行のノルマといっても定期預金や貸出のノルマだけではありません。
個人業務では預金のほかに、投資信託、NISA口座、生命保険、年金、クレジットカードなど金額や契約件数をカウントするものもあれば、グループ会社に信託業務や証券業務を取り次いだ回数がノルマとなることもあります。
法人業務では貸出のほかに、新規先開拓、クレジットカード、インターネットバンキング、コンサルティング案件の獲得(M&A、事業承継、経営コンサル、DXコンサル、補助金コンサル、ビジネスマッチング)などなど。
これに加えて、法人業務の担当にはさらにオーナーの個人取引の獲得があり、先ほどの個人業務のノルマが上乗せされるケースもあります。
とにかく項目が多い。そして、ノルマにおいて一番辛いのは、半期(6か月)ごとのスパンで設定されており、期が変わるとリセットされるところにあります。
前期でどれだけ実績を上げた行員でも、期が変われば皆ゼロからのスタートです。
営業の現場にいる場合、これを延々と繰り返していくことになります。
「あと何回この6か月を繰り返せばいいのか……」
ノルマがきつい、というよりこれを6か月ごとに繰り返していくこと。それを考えるとノルマが理由で辞めたくなる時はあります。
辞めたくなる理由② お客様への罪悪感
お客様に対して罪悪感を感じて辞めたくなる。ノルマにも通じる部分があるかもしれませんが、銀行で営業を続けていくと、こうした気持ちになることがあります。
「営業をするなら、自分の知識やスキルでお客様に喜んでほしい、有益だと思ってほしい」
営業担当なら誰でもそう思うでしょう。
けれども、それだけでは銀行の営業は務まりません。先ほどノルマについて説明したように、6か月以内に達成すべき数字が決められています。
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例えば個人営業で、とても仲良くなったお客様「Aさん」がいたとしましょう。
担当から「この商品を買ったらいいと思う」と勧めれば「あなたが言うなら買ってみようかしら」と言ってくれるほど担当は信頼されています。
そんな中、期末の9月になり、あと定期預金100万円でノルマが達成される状況です。
しかし、他の顧客には提案し尽くしたけれど、どうしても最後の100万円の契約が取れない。
そんな時、Aさんなら100万円の定期預金を他の銀行から移してくれるに違いない、担当はそう思います。
ただし、定期預金の金利は他行が1.0%、当行が0.5%。お客様からしたらまったくメリットがない。なんなら移すことで損をしてしまう可能性すらある。
それでも担当はAさんに定期預金の移動を提案し、「あなたが言うならそうしようかしら」と了解をもらい、9月中に契約に至る。担当としてノルマは達成。Aさんも悪い気はしていない。
けれども、担当に残るのはノルマの達成のためだけに特別メリットがあるわけでもない取引をさせてしまった、という後ろめたさ。
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「ノルマの達成がお客様のメリットとイコールではない」
あくまで一例ですが、「銀行員の都合」と「顧客の都合」があるときに「銀行の都合」を優先させることに対して、営業が苦手と感じたり、罪悪感を感じて辞めたくなる時があります。
辞めたくなる理由③ 仕事内容と賃金のバランス
銀行員の仕事は大きく分けて3つあります。「預金課」と「融資課」と「営業課」です。※銀行によって呼称は異なります
預金課は口座作成や窓口事務、振込など主に預金に関する「事務」を行います。
融資課は融資に関する稟議書の作成や営業課に依頼された契約書作成等の「事務」を行います。
営業課は主に取引先を訪問して貸出案件やその他ノルマ項目の「営業」を行います。
そうなると、ノルマが他の課員に比べて大きい営業課のメンバーは事務をメインとする預金課、融資課に対して仕事内容の格差がある一方で賃金に差がないことを当然不満に感じるようになります。
特に若手行員だと、どの課に所属していても給料にさほど差が出ない場合もあります。それもまた仕事内容と処遇に対する不満を加速させる原因となります。
「私と同じ給料をもらっているのに、私より楽な仕事をしているのは納得がいかない」
給与体系の年功序列色が強めなところや業務が違ってもそのせいで給与に大きな差が生じにくいなど、仕事内容と賃金のバランスが悪いことで辞めたくなる時があります。
まとめ
いかがでしたか?
今回紹介した3つの理由は、あくまで「辞めたくなる」時であって、これらが積もり積もってやがて本当に「辞める」に至っていくと思います。
これだけだと「銀行ってダメじゃん!」と思われる方もいるかもしれません。
ですので今回の記事に対して、銀行員が働き続けようと思う「本当」の理由3選、を近日中の掲載予定です。そこで銀行員であることのポジティブな面もぜひ見てもらえたらと思います。